この商売を始めて初めて最初に発売したD408です。
この製品は当時好評だったが、プラスチック金型破損により販売休止になりました。
2011年7月
なんとか再生産先を探して、再販するもロットと付属品の都合で販売を断念する羽目に。
この販売休止になったときから、独自開発を画策しております
■これから開発していくにあたって、コンセプトが二つ
・安全:人体と財産に損害を与えない事・使いやすいこと
考えてみれば当たり前の事ですね。
その当時、半導体やパーツ類も割高だった事と、国内の製造業が壊滅的だったと記憶。
製造に関して、ツテもコネもなく、当時は何もできませんでした。
■とにかく猛勉強。
勉強会やセミナーに参加したり、色々本買ったりしました。SEOを学んで、サイトの検索順位を上位表示させました。
検索ワードに「煙管」「キセル」がどのくらい入っているか、という見込み客計測のために利用しました。
今となってはマーケティングの初歩的な手法でしたが、需要が無ければ作る意味がなく、この計測で得たデータも原動力です。
データはすみません。PCの電源コンデンサが爆発したときに紛失しました。
■煙管って何?
「歴史に学ぶ」とばかりに、歴史館や展覧会に足を運ぶ。徳川博物館とか、茨城歴史館が大盛況でした。
展覧会、展示物の中で、印象に残っている事のひとつは、雛人形の6段目、嫁入道具揃
雛人形は奥が深いので割愛しますが、
煙草盆 火入 灰吹 煙草入 煙管 香箸
この煙草盆一式(煙草盆一揃)が雛壇に飾ってありました。
かつては 嫁入り道具 の一つです。
江戸時代において、嗜好の世界というより一種のファッションやステータスシンボル。
男性と女性では、その持つ意味合いや形状が違うものに。
また江戸後期に莨(煙草)盆一具が茶事の道具として一般的になる。
茶事においては、寄付、腰掛、席中では薄茶が始まる前に持ち出されていた、と。
いまとなっては、嫌煙、脱煙草もあって割愛されますが、茶器として考えるなら
これは日本で当店がやるべきことであると自負がありました。
■開発の歴史
時系列がアイマイな点と、分解製品の画像が入る事をご了承ください。
2012年
■まず始めたことは資金と名声作り、資料集めでした。
とりあえず、キセルを色々と集める、眺める。この煙管も奥が深く、高いもので十数万とか。
商材についても
・売れるもの
・売れなくても面白いもの
をかき集めては販売していました。
変なものを売っていて申し訳ありません。
今日まで付き合って頂いた方、ありがとう!
■集めたものは即分解
電子タバコの進化は、目まぐるしく面白かった。リチウム装填型、デザイン特化したものなど様々です。
ジョグダイヤルにマグネットが埋め込まれていて、回転させると制御側の接点を動作させる仕組み。
故障原因は、回転させるとダイヤルのマグネットが摩耗でした。摩耗するとマグネットが検出できず制御が困難に。
手りゅう弾型、サバゲーのあたりで流行ったとか聞いております。
これもジョグダイヤルにマグネットが埋め込まれていて、回転させると制御側の接点を動作させる仕組みです。
故障は少ないものの、基盤に液体が流れ込む事例があり、それが故障の原因になっておりました。
リチウム電池内蔵型、1A出力のポータブル充電可能な電子タバコの基板。
器具はいずれ飽きもの、として、予備電源としてお勧めしていました。
基盤は、もうちょっとコンパクトに出来ますね。
故障の多くは、この中にある赤い線の断線でした。
2015年に現れた制御基板。ニッケル線を使った熱電対原理の応用による温度制御はお見事でした。
※これは当店で販売しておりません。
制御系電子タバコ(VAPE)、メジャーバージョンはこのあたりで一段落した感じです。
あとは、出力を何処まで上がられるかの勝負、またはメカニカルモッドです。
こういう事ばかりしてたので、修理の可否と、構造的欠陥はそれなりに理解しました。
いまだに修理依頼の問い合わせは後を絶ちませんが、出来れば、買ったところに聞いてほしいとおもいます。
2013年
■まずは試験的に作ってみました。
市販の乾電池稼働型電子タバコ安全性において、これ以上のものはおそらくございません。
この構造をもとに、「アルカリ乾電池 単6」という、9Vのアルカリ電池を分解すると出てくる細いアルカリ電池を内挿させてみます。
危険なので真似しないでください
装填したところ、電圧の可動域が半導体の許容電圧を超過していて、制御できず。
※危険なので真似しないでください
4.5Vではだめらしい。
2013年 冬
VAPEとかで電子タバコがまた流行り始めました。第二次ブーム。
金属加工に詳しい業者や、中国貿易商と知り合った。
SEOの成果の一つです。
チャンス到来!
とばかりに温めていた製造計画の開始。
協力をお願いした方々に開発コンセプト、構造他概要を伝える。
ただ、結局はその殆どを自分でやっております。
2014年
2014年4月
他店だと「正規品ですよー」アピール目当てでシンセン渡航が横行していました。
当店はシンセンに渡って大型旋盤加工の工場へ訪問。
作ることしか考えていません。
2011年当時よりパーツ類価格が下落傾向、企みが奥を奏します。
余談ですが、類似品横行する理由は下記の通りです。
・大手は組み立て、パーツはOEMで供給するため、OEM元が組み立てて横流し販売。(中国でも違法行為でした)
・節税対策で、同じ事業を数社に分けているため、別メーカーロゴになったり
(Kamry社と、Smy社がこの例です。同じ事務所に2社入っていたりします。)
とあるところから、販売したもので事故が起きないように、という注意喚起
2015年
金が貯まりました。
■充電システムの開発と検証
・使いやすさについて
正直、USB端子の抜き差しはメンドイ
アメリカのクラウドファンディングにて、ZNAPS(USBのマグネット化)が成功していました。
そんな理由で無接点給電に目をつけます。
探してみると面白いもので、マルチホップ給電システムや、ワイヤレスinホイルモータの開発、イギリスの道路で充電など、当時は新しい技術に目まぐるしく面白い物でした。
2015年6月
サンプルと、試作用パーツのかき集め
無接点給電、出力60W送電システムを見つけてきました。
2015年8月
送電システムは既製品があるため、本体のコイル受電制御システム開発を開始しました。
理論的には、送電の出力容量と受電の受電容量は同一が望ましいとの事です。
無接点受送電のカナメは、電磁コイルという事で、製品試作依頼。
受電する電磁波の遮蔽シールド
受電回路の見本、これは低容量型
本体に内挿する制御基板、すっ飛ばしたように完成しました。
サブオーム(低抵抗0.5ohm)の稼働までカバーしたときの参考画像
爆発が怖くて、センサーと基盤を配線延長して試験しました。
見事、動いています。
2015年10月
本体を稼働させるパーツが一式揃う。
ファンクショナルプロトタイプが完成する。
茨城県工業技術センター様協力の元、実負荷計測試験
無接点送電基盤の受送電能力に対して130%の出力を計測。
それがいけなかった。
詳しい説明は省略しますが、成功するも失敗。基盤寿命が短命すぎた。
用意していたサンプルの全てが破損。
もう一つの失敗は安全性。
露出したコイルがおよそ100度の熱源が露出するため、安全性を確保できず。
エフェクト効果として、火皿から煙を出したかった。
蒸気を作る温度としては熱源が足らず、露出したコイルは火傷の恐れがある。
全てにおいてハンパでした。
無接点給電システムの変更を余儀なくされる。
コンセプトは良かったと思う。諦めてはいない。
■リチウムポリマー電池
・安全性について
海外のフォーラムや海外ブログ記事を読み漁り。
事故事例はいくつかあり、その殆どがリチウム電池の事故。
燃えたり爆発する原因も、結局はそこしかない。
リチウム電池の製作も苦労しました。
2015年7月に交渉を始める。
2015年9月。
苦労話は省略。ポリマー素材で800mahの放電レート特性10cの 高出力 並列冗長型バッテリーを試作。
この円筒形のバッテリーは総称してシリンダータイプと呼ばれます。
スマホに使用されるバッテリーは、ラミネートタイプです。
試験製造品なので、福島のリチウム電池試験の大手:東洋システム様に実負荷試験依頼。
試験機器の混雑都合により2016年2月に試験開始するも成功。
検査対象のすべてが稼働水準を満たし、良好な試験結果を得る。
しかし、製造が難しく量産が困難な状態に陥る。
■実接点充電器への切り替え
2015年11月
無接点から、実接点に変更するため、充電器を1から考え直す。
コンセプトもままならず、世に無いものを作っているので自分でもモヤモヤしていた。
3D-CADを導入。落書きを始める。
その流れから、3Dプリントに手を出す。
充電器に収納他、余計な機能を盛り込みました。
余計なもの取っ払った第2弾
なんとなく、「畳」を連想して施策しました。
しかし作りながら、、、「これじゃない」と葛藤がわく。妥協の産物は作りたくない。
批評会しましたが、いまいちでした。
この充電器、3D-CAD未経験からおよそ3か月でここまで出来っちゃったのは感慨深いものがあります。
短時間でそこまでできるの?と、色々な方が驚いていました。ものつくり面白い。
火皿の設計とか、吸い口の話は、パテが大活躍。
それをスキャンしてメッシュミキサー、凹凸をいじる。
それらはスマホで出来る時代です。
2016年
1月、国内製造拠点が、やっと見つりました。
量産にむけた試作調整にはいります。
内蔵予定だったスピーカーとWiFiは却下される。
使うのは簡単でも、メーカー側動作保障の意味で難しいとのことでした。
危機感を持った若い工場経営者たちが、新たな挑戦を始めているのを目の当たりにする。
日本のものづくりも、まだまだ捨てたものじゃない。と思っていました。
続く。
このあたりで製造や組み立ての話になり、試作に関わったメンバーとお別れしました。
優秀な方々でした。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。